亮月写植室

写植室日報

2012.4.25(水)

 亮月写植室が撮影した写真を書籍に使っていただきました!

『新聞を読もう! 3 新聞博士になろう!』表紙

 教育画劇『新聞を読もう! 3 新聞博士になろう!』です。
 小学校児童向けに、新聞とはどんなものかを解説した全3巻の書籍です。

『新聞を読もう!』新聞印刷の歴史

 24〜25ページは「新聞印刷の歴史」ということで、活版から写植、コンピュータによる組版までを大雑把に解説しています。

『新聞を読もう!』写植の写真

 その中の写植に関する部分に3点、写真をご使用いただきました。
 手動写植機の写真は管理人が保有する写研のカタログからの転載ですが、この書籍の制作会社が写研に問い合わせて許可を得ています。
 ファインダーと文字盤は取材先で撮影したものです。こんな風に印刷物で使っていただけるとは思っていなかったので、お話を頂いてとても嬉しかったです。しかも「写真提供:亮月写植室」とクレジットしていただけました!
 担当してくださったD社のN様、ありがとうございました!


2012.3.3(土)

スピカAH印字成功しました!
石井新細ゴシック体(つめ組み用かな文字盤併用)

 SPICA-AHの印字テストをしました。
 動作確認ではフラッシュランプが力強く点滅していたので多分印字できるだろうとは思っていましたが……

SPICA-AH印字テスト印画紙
印画紙全体(約15.2×25.4cm)

 7Qから62Qまでくっきりと、埃の影響や光線漏れもなく正常に印字できました!
 早速、先日の「写植の時代」展で買ってきたつめ組み用かな文字盤(以下「つめ文字盤」)を試してみました。

ナカフリーB+ルリールB詰め組み
ナカフリーB+ルリールB

 ナカフリーとルリールの混植はどんな手書き風書体よりも最も自然に手書き感を再現できるのでつめ文字盤は必須です。SPICA-AHは字づら検出対応機種なので上のように気持ちよく組めました。「ィ」の採字に失敗しているのは目を瞑っておいてください。
 操作していて分かったのは、つめ文字盤(字づら検出板3S)使用時に9/16emと13/16emの位置でエラーとなり、印字キーを押し下げても印字できないことです。その部分はつめ文字盤ではなくかな集合文字盤(仮名書体のサブプレート)を使用しました。

 なんとなく脳裏をよぎった言葉を印字してみました。50Q秀英明朝と16QナールLのつめ文字盤。

秀英明朝詰めテスト

 すみません、秀英明朝様でこんなことをして……。

 字づら検出ができない9/16と13/16emの部分はメインプレートの仮名を採字し、つめ文字盤記載のem/16を50Qでの送りH数に換算して50Qとの差を2で割り、文字の前後でその数値をマイナスに送って詰めました*が、マイナス送りを忘れたり計算を間違えたりして所々おかしなことになってしまいました。

*全角仮名をつめ文字盤と同様に詰める場合に必要なマイナス送りH数の算出式
 {Q数−(Q数×つめ文字盤記載のem/16)}÷2
 全角仮名は仮想ボディの中央に配置され、つめ文字盤は組み方向の頭付きのため、全角仮名の組み方向の頭にある空間はつめ文字盤の送りH数とQ数との差の半分です。

 手動写植機の印字は人間の記憶を総動員して行うため、文字盤上の文字を探すのに時間がかかったりすると送りを忘れるようなことになってしまいます。どこまで印字が終わっていて、今何の文字を探していて、どんな指定がされていて、どのような操作をしなければならないかを全て把握しておかなければならないのです。しかも今回は指定を作った訳ではなく、思い付きで打ったので更に間違いやすい状態でした。
 逆に考えて、指定をしっかり作って操作の忘れがないよう逐一チェックできるようにしておけばミスが減るということを学びました。

 印字の依頼が来るようになりましたが、先のMC-6の印字体験では大勢に囲まれる中でまごついて赤っ恥をかき、持っている写植機でさえこのような有様です。写研の「写植教室」のテキストを持っているのでそれを1から勉強した方が良さそうです……。


2012.2.29(火・閏)

 25日に運び込んだSPICA-AHを実用できる位置に移動し、清掃を行いました。
 SPICA-AHをキャスター付きのプリンタラックに仮置きしていたのですが、制御ユニットを内蔵したキャビネットと接続しないと使えないこともあり、SPICA-QDと位置を交換することにしたのです。SPICA-AHは95kg、同QDは60kg。一人では持ち上がらないので家人に手伝ってもらいました(心から感謝!)。
 SPICA-AHはPAVO型同様メインプレートを2枚載せられるので、横の占有幅は1.1m、文字枠の移動に必要な幅は1.8mあります。それでもうまく設置することができました。

SPICA-AH設置完了

 上の写真で向かって右が写植室の玄関、左奥が自宅への通路ですが、どちらの通行も妨げることなく置くことができました。本体の右にあるのが制御キャビネットです。本来SPICA-AHのキャビネットは本体の両袖にあって跨がせるように置くものですが、オリジナルの状態よりも四畳半という狭さの中でも使用できる状態であることを優先しました。

SPICA-AH導入後の写植室

 左からSPICA-AH、PAVO-JV、SPICA-QD。四畳半に写植機が3台、我ながらよく入ったものです(笑)。いずれも状態が良く印字可能というのも私にとっては奇蹟です。

 SPICA-QDはプリンタラックへ移動しました。附属の机に載った状態が最も美しいのですが、3台とも実用する以上背に腹は替えられません。

SPICA-QDの新しい定位置

 菅沼タイプライターがあった位置にすっぽりと。今までは30kgのタイプライターが載った机を動かすことは困難だったので本棚の資料が取り出しにくかったのですが、可動式になってすごく楽になりました! この状態ではSPICAの文字枠を横に動かせませんが、使用する時にラックを引き出せば大丈夫です。事前に寸法を計算してレイアウトや備品選びを考えたとはいえ、少しでも大きかったら上手く置くことができなかったので冷や冷やものでした。

SPICA-QDと本棚

 なんかちょっと恰好いいなと思ったのでアップで撮ってみました(笑)。

 亮月写植室の写植機がこれ以上増えることはなさそうです。物理的にはまだ入りそうですが、写植室の雰囲気を壊しかねない(倉庫のようになってしまう)のでこれでおしまいです。
 SPICA-AHは卓上型なのに電子制御という面白い機種なので、機械式のQDやほぼ同じ機能を持つPAVO-JVと比較してみるのもいいかもしれません。よろしければ見学にお越しくださいませ!


2012.2.26(日)

 昨年11月半ばのことでした。関東在住の方から一通のメールを頂きました。
 「使わなくなりましたSPICA-AHが保管してあるのですが、なかなかゴミとして処分することも憚られ、部屋の隅に保管してあります。そちらでお役に立てる事は可能でしょうか?」
 既に2台を所有しているので悩みました。四畳半にもう1台は入れられないのではないか、いや稼働するSPICA-AHなんて滅多に手に入れられるものではないから備品のレイアウトを変えてでも譲って頂いた方が良いのではないか……と葛藤しました。

譲渡前のSPICA-AH全景
持ち主様の建物に置かれていたSPICA-AH。1986年11月製。(2011年12月)

 悩んでいても埒が明かないので、12月上旬に持ち主様の所へ伺い、SPICAの状態と動作確認をさせていただきました。大切に使ってこられたとのことで酷い汚れや目立つ傷はなく、キー操作に対して的確に機構が反応し、要のフラッシュランプも元気よく点灯しました。印画紙や暗室はなかったため印字の確認は出来ませんでしたが、おそらく印字も可能だろうと判断しました。変形レンズ字づら検出板などの附属品も揃っていました。

SPICA-AH操作パネル
SPICA-AHの印字キーと操作パネル(2011年12月)

 これまでのやり取りの中で寸法やおよその重量等を把握させていただき、写植室の場所のやりくりはつきそうだったので、この動作確認によって譲って頂くことを正式にお願いしました。「もし亮月さんのお話がなかったら、今頃は廃品回収に出してしまっていたかもしれません」と持ち主様。

 去る2月18日にはいよいよ持ち主様の会社から搬出ということで私も立ち会いました。依頼した運送業者さんがキャビネット2台と本体に分けてトラックに運び込んで行きました。運賃は……2011年3月にPAVO-JVを滋賀から運んだ時よりも安かったです。長年連れ添った主に別れを告げ、見知らぬ土地で余生を過ごすことになったSPICA-AHを見送りました。廃棄寸前のぎりぎりで繋がったご縁に心から感謝。

 そして25日、亮月写植室にSPICAが到着しました。
 それを見越して今年の初めから亮月製作所(自室)の大規模な整理を進め、菅沼タイプライターとその机を写植室から製作所へ移動しておいたので、これまでとほぼ同じ空間を保つことができました。
 届いた当日はキャビネット2台の汚れを落として磨き上げ、1台を暗室の文字盤置場へ収納、もう1台は制御ユニットを内蔵しているのでSPICA-QDを少し移動してその横に置きました。本体は予め買っておいた100kgまで耐えられる移動式のプリンタラックへ。磨き上げる時に指をあちこちに擦ったり重いものを持ち上げたりしたので私の両手はボロボロのヒリヒリです。

SPICA-AH全景
亮月写植室にて動作確認中……

 翌26日は引き続き清掃と動作確認で一日が終わりました。運送に当たり一部分解してあったものを組み立てる時、ネジが機械の中に落ちて取り出すために更に分解して2時間……(泣)。
 譲渡前と同様に動作することを確認できました。勿論フラッシュランプも明るく点灯します! ちょっとだけ撮影しました。

SPICA-AH操作パネル
PAVO型のような印字キーと操作パネル、LED表示部。


SPICA-AHの“形式写真”こと、文字盤とレンズターレット部分。
ターレットを覆う金属板があり、まるで鉄仮面のような表情。


文字枠右側に取り付けられている「字づら検出板」。
二進数の穴が開いた部分を写植機が読み取り、プロポーショナル送りを実現している。
1S、2S、3Sがあり、幅の細い欧文、通常の欧文、つめ組み用かな文字盤に対応。

SPICA-AH

 60cm幅のプリンタラックにSPICA-AHを載せると本体の両足が半分ずつはみ出るという不安定な状態でした。しかもAHはメインプレートを2枚載せられる文字枠で本体よりも幅があり、移動できるとはいえ暗室のドアを阻むようにしか置いておけません。
 これではまずいし、使う度に制御部のキャビネットとのケーブル接続を付け外しするのはとても面倒です。AHよりやや小振りなSPICA-QDに附属している台は60cmよりも幅があり、逆にQDをプリンタラックに載せても寸法上問題がなさそうなのでそれぞれの台にを置くものを入れ替えたいと思います。試し印字はそれまでお預け……かな。

 ともかくも、SPICA-AH導入です! ばんざい!


2012.2.5(日)

 (亮月だよりから転載)所属の写真サークル関係の人達が見学に来てくれました!
 駅まで車で迎えに行くと、名古屋から来た4人は駅を降りるなりすごい興奮ぶりで土岐市駅舎をバックに激写(そこはタクシー列のすぐ横だった)、満面の笑顔で私の車に近付いてきました(笑)。これは早くもえらい事になりそうだと予感する管理人。
 賑やかなまま車に乗ってもらい自宅へ。早速写植室に入っていただきました。車も写植室も狭くて申し訳なかったです!
 いつもお客さんをお迎えした時のように写植や写植機についての説明をする隙もなく、写植機や和文タイプライターなどあらゆる備品に反応する一行。写植機をじっくり見たことがある人はいなかったようで、沢山写真を撮ってくれました。あまりの食らいつきぶりに私が驚きました。
 自宅ゆえ家人も居た訳ですが、途中から“隠れ家訪問”になったりお茶の時間に合奏したりとかなりのフリーダムぶりを見せる一行(私もか)。父は音楽も本職にしているので自分にとっては恐れ多い存在なのですが、お茶の時間に巻き込まれて一緒に演奏してくれました(すまぬ父上、こういう仲間なんです)。Rさん、楽器持って来るなんて反則だよー!(←「わかってたよ!」と読む。管理人は嬉々として自室から楽器を取って来た。)
 お茶が終わったら写植室に戻り、ちょっと写植の話をと思いましたが色々な物に興味津々の皆の前では無理でした。こうなると思って前日の晩に作っておいた「見学のしおり」が役に立ちました。印刷・デザイン関係が本職のメンバーとはちゃんと話が通じました。ありがたし。

お土産の印画紙と『見学のしおり』
お土産の“Rさんと愉快な仲間たち見学記念 2012.2.5”印画紙と『見学のしおり』
実物は皆にあげてしまったので、失敗印字と試し刷り。
しおりは急遽前日の晩にMacで作成。題字に使った太い筑紫明朝って豊潤な輪郭でいいなぁ。しかも詰めるととても気持ちいい!
印画紙は新聞特太ゴシック体と大見出しアンチックKE-Aのつめ組み用かな文字盤併用、そして写植と言えば記号BA-90。小さな字はファニー、鼻息のような記号はルリールBのもの。字づら検出と行送りに失敗してずれている。

 写植機よりもむしろ原理が目で見てすぐ分かる和文タイプライターの方が面白かったようで、Rさんはたちどころに「菅沼タイプライター」の採字と送り操作をマスター、歌詞カードを作成していました。インクリボンが終わってしまったので製作所で普段遣いにしている小型の「パンライター」を出したら女子に人気でした。「『和文タイプ打ちに来てよ』ってどういう口説き文句やねん」と突っ込まれる管理人。

遮光テープと修整ペン
Iちゃんがお土産にくれた製版フィルム用の遮光テープと修整ペン!

 ……そんなこんなで写植あり、和文タイプあり、合奏あり、お茶の時間ありのとても充実した一日でした。本当にありがとうございました!


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