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2022.7.23(土)
大量に頂いたモリサワの文字盤を整理することにしました。

送られてきた段ボール箱に入れっ放しになっていて、場所を取る上活用もしにくい状態でした。
モリサワの文字盤はおよそ幅35cm、縦30.5cmで厚みがあります。うまく収納できるものはないかと探した結果、レコード用の棚が丁度いいのではないかと考えました。LPレコードの大きさは30cm四方なので、レコードを収納しても余裕がある内法の棚を探しました。結果、ディスクユニオンのレコードラックが条件をほぼ満たす内法だったので購入しました。

白い4ますの棚がレコードラックです。文字盤の方が若干幅(棚の奥行き方向)が長く少しだけはみ出しましたが、段ボール箱だらけだった写植室がすっきりしました。文字盤の間に白くはみ出しているのは新聞紙や段ボールです。こうしないと文字盤のガラス面が他の文字盤に接触し、傷が付いてしまうのです。
文字盤を段ボール箱から棚へ移す時に慎重さを欠いてしまい、複数枚を一度に持って棚へ収めていました。その時「パキッ」と嫌な音がしました。文字盤の盤面を見てみると、ガラスの隅にひびが入っていました……。
写研の文字盤は複数枚持ってもひびが入ることはまずありません。モリサワの文字盤は思っているよりも脆いようです。また、文字盤の枠にはマイナスねじが多数使われており、慎重に取り扱わないと棚板など周囲の物を傷付けてしまいます。モリサワの文字盤は一枚ずつ丁寧に慎重に取り扱いましょう!!
2022.3.14(月)
とても久し振りに文字盤を大量に譲っていただきました。

Nikon D80・AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED(以下同じ)
段ボール箱が8箱届きました。
早速全ての文字盤を確認し、リストアップすることにしました。大きい文字盤が30枚、小さい文字盤が355枚ありました。
未知のものを探求するようなこのわくわくする感じ。初めて文字盤を手にした時と同じ感覚が蘇ります。

細ゴシック体BC501様! そう、今回は亮月写植室にとって初めてモリサワの文字盤を譲っていただいたのです!
どんどん梱包を開けていきます。

じゅんゴシックNo.2! 見本帳でしか見たことがなかったのですが、やっとお逢いすることができました。

OH No.2の枠なし文字盤です。モリサワも写研のようにガラス板だけで枠がない文字盤を供給していたようです。

そしてモリサワの手動写植といえばイラスト文字盤(K13)。独特なゆるさがモリサワらしいです。

新ゴMの手動送り用欧文文字盤(SGM-LE)。DTP用デジタルフォントの従属欧文とは異なり英数字とも全角に近い字面です。言葉でうまく表現できませんが整っている感じがします。写植用の新ゴの印字物を見ると和欧混植でも字面が揃っていて、欧文は程よく詰まっていて格好いいのです。DTP用にもこれを採用してほしかったな。それだけでDTP用の新ゴに対する印象は随分違ったと思います。
家人が寝静まった深夜のお楽しみは、ライトボックスを取り出しての撮影大会です。

Nikon D800・Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D(以下同じ)
「昭和」が文字盤の一番いい位置(No.1〜2)にあるところに時代を感じます。

モリサワのゴシック体の全角の「2」が好きです。

カメラのファインダー越しに文字盤を愛でる。至福の時間。こんなことをするのはいつ振りでしょうか。すっかり遠ざかってしまっていました。

夜中に一人、煌々と照らされながらガラス板の文字を眺める。まるで「禁」じられた遊びをしているかのようで、ふと我に返り、現実の世界へ戻っていったのでした。僅かな時間でしたが、本来の自分を取り戻したような至福のひとときでした。
2021.9.27(月)
ある方から和文タイプライターで印字できないかとの相談がありました。しかし私の所有しているものは旧社屋(実家)に置き去りにしたままになっていました。
2台所有している和文タイプライターのうち1台の「菅沼タイプライター」は活字や機能が豊富で主力にしていたのですが、盤面活字を含めて30kg以上あり一人での移動は危険なため持ち出しを諦めました。もう1台の「パンライター」は10kg程度で簡単に持ち運べるため、“新社屋”(現在の自宅)へ持っていきました。

10年前に中古で購入した当時と変わらず、滑らかに動作しました。電源が必要ない純機械式の道具の強みで、仕組みが単純なので余程なことがない限り故障しません。左手と右手の操作のリズムと手応えが心地よいです。
A4用紙半分の原稿を2時間半かけて印字しました。漢字は音読み配列なので採字は簡単でしたが、同じ行を2回打ってしまったり、行送りが乱れたりと不慣れが出てしまいました。
印字したもののスキャンデータを依頼主様に納めさせていただきましたが、音沙汰がありません。ここをご覧になっていましたらご連絡くださいますようお願いいたします。(※2021.10.3追記:依頼主様からご連絡を頂きました。ありがとうございました。)
2021.1.8(金)
2019年2月に“新社屋”へ手動写植機2台を移動したのですが、写植機を据え付ける位置に若干の指示間違いがあり、少しだけデッドスペースができており、片方の写植機(SPICA-QD)を正面に向けて置けなくなってしまいました。
保管する分には問題ないのですが、旧写植室では2台とも正面に向けて置いていたのでやはり気になるものです。何とかならないものかと悩んでいました。
重量物の運搬はピアノ運送業者など専門の人に任せるものだと思っていました。しかし最近になって、自力で重量物を動かす道具を見付けました。

大洋精工「らくらくヘルパー」です。
梃子の原理で重量物を少し持ち上げ、そこへ台車を差し込んで転がすという仕組みです。こんな簡単なもので330kgの写植機が移動できるのかと不思議に思うところもありましたが、理屈の上では移動できる筈です。購入して実際にやってみることにしました。
手伝ってくれる人はいなかったので、実施にあたっては万が一写植機の下敷きになったことを考えて出入口の鍵を開け、ポケットに携帯電話を入れてすぐに119番通報できるようにしました。

写植機「PAVO-JV」の本体が乗っている引き出しの足元に「らくらくヘルパー」の台車を差し込みました。梃子のレバーを押し下げるとグググと写植機が持ち上がり、簡単に台車を入れることができました。これを8箇所行いました。
さて、移動できるでしょうか……。
→写植機を手押しで移動する(MOV形式、7秒、7.5MB)
写植機が(物理的に)動いた!!
一人で写植機を移動できるとは驚きです。1mは移動できそうな感覚でした。床がフローリングブロックという硬い木なのがよかったのでしょう。絨毯やクッションフロアなど柔らかい材質の床材では移動できないと思います。

こうして2台の写植機を正面を向けて設置できるようになりました。ほんの少しですが部屋が広くなり、すっきりしました。写植機を僅かに移動したい方がいらっしゃるようでしたらお薦めです(いないか)。ただし重量物なのでご自身の責任で実施してください。
2019.9.1(日)
関東地方の学生の方から「写植について詳しく知りたい」とのご連絡を頂き、遥々お越しいただきました。
勉学の中で写植のことを知る機会があって興味を持たれたのだそうですが、既に歴史上のこととして取り上げられているだけで、写植機の実物に触れたりじっくりと話を聴いたりする機会がなかったとのことで、私のサイトを見付けて見学を申し込んでくださったそうです。
活版から手動写植、電算写植、そして DTP へと移り変わっていった様子や、写植時代の豊富な書体のことなど、深い興味をお持ちの方で、写植機の電源を入れて動かしながらお話ししました。「この機械を見たら若い人も興味を持つと思います!」と話してくださいました。
見学の後半はやはり写植の印字体験です。写植を知るには、写植機を自分で操作して印字し、現像が終わって写植が出来上がるまでを五感で感じることが大切だと思っています。簡単な割り付けや採字、行送りなど、写植機の基本的な使い方を体験していただき、その大変さと写植機のメカニズムの面白さを感じていただきました。普段の印字体験では、暗室の現像作業は私一人でしているのですが、今回は一緒に入っていただき、現像して印画紙に文字が浮かび上がってくる様子や水洗いをした直後の艶やかな写植文字を見ていただきました。とても感動されていて、私もとても嬉しかったです。現像して文字が現れるところを見るのは、写植の醍醐味の一つだと思っています。

来訪者様が自ら印字された跡が点示板に残りました。文字が「物として残る」、それも写植の魅力です。「印画紙を額に入れて飾ります」とおっしゃっていました。
旧写植室時代の来訪者様は写植を経験された方が大半で、当時のお話を聴くなどどちらかと言えば受け身で、受け取ったものを残していくことが私の活動だと思っていました。しかし最近は学生の方など写植の時代に生まれていなかった若い方が増えてきました。私の生きる時間にも限りがあります。写植を長く遺していくためにも、これからは私がそうしてもらっていたように、若い人達へ伝えていく役割も担っていかなければならないと思っています。
私にとっても気付くことが多い一日でした。来訪者様、本当にありがとうございました!
2019.5.1(水)
新しい時代を迎えました。
新居への引越しにより1月から写真植字機による印字を休止してきましたが、少しずつ“新社屋”の整理を進め、この長い休みを利用して自家印字の再開を試みました。
原稿を書き、書体とQ数を指定し、印字位置を決めるため割付計算をしたらいよいよ印字です。印画紙をマガジンに装塡し、PAVO-JV に装着したところで用事が入ってしまったので、翌朝に持ち越しました。
新しい時代の清々しい早朝、朝焼けを受けながら PAVO-JV の電源を入れ、印字位置をテンキーで入力……できない!?
「⇔」「4」「0」「H」と入力しても「ピコピコ」とエラー音を発して受け付けません。縦方向も同じ。フリーラン(印字位置を数値入力するのではなく自由に移動)はでき、主レンズの変更はできます。しかし印字位置を厳密に決めなければ、印字位置が印画紙をはみ出したり、文字同士が重なったりするなどの支障があります。
まさか、PAVO-JV、故障した……?
あれだけ前所有者様のところで手厚い整備を受け、私も写研の方のご助言を頂きながらできる限りの整備をし、埃を溜めないように綺麗に清掃し、旧写植室では8年間、画面以外は何ら問題なく動作を続けてきたのに……と背筋が凍る思いでした。
しかし印字位置「だけ」が入力できないのは不自然な故障の仕方なので、しばらく使用しなかったことでバックアップ用のニッカド電池の充電が切れたことを疑いました。電池切れや充電池が不調を起こすと写植機の設定が滅茶苦茶になり、正しく動作しないことがあるのです(→写植レポート「PAVO-JV バッテリー交換」)。
電子制御式の PAVO 型には、印画紙の大きさ(印字可能な範囲)を初期設定できる機能があり、この設定が電池切れで失われたり乱れたりしてマイナスの値が入ってしまうことがあります。これを疑いました。
マガジンの横にあるクラッチレバーを2秒間倒せば(写植機の歯車とマガジンの軸を切り離せば)印画紙の大きさの設定をクリアできます。
しかし……レバーが倒したままになっていました。倒したままというか、昨夜突然中断したのでクラッチを繫がないところで作業が止まっていたのです。
これが印字位置変更不可の原因でした。あまりにも間抜けです。写植機を8年も使ってきてこんな初歩的なミスに悩むとは……。という訳で戒めのためにここへ記録しておきます。
という訳で動作の不調は解決し、少し緊張しながら印字と現像を進めました。

よかった! 印字できた!
現像のときは何度やってもドキドキします。印字できていないんじゃないか、現像液が劣化してないか、印画紙が裏返しだったのではないか、と不安になってきた頃にじわっと黒い文字が現れてくるのです。今回こうして新しい写植室でも印字できることを確かめられて本当によかったです。

印字を終えるとすっかり明るくなっていました。
朝日を浴びる PAVO-JV。写植も共に令和という新しい時代を迎えることができました。新しくなった写植室でも末永く活躍できるよう、大切に使い続けていきたいです。
| 写植書体に関する催しのお知らせ |
2019.4.4 掲載
名古屋では初めての書体に関する催しが開催されます!
「中村書体と筑紫書体」
写植書体『ゴナ』『ナール』等の作者である中村征宏さんと、筑紫書体シリーズの作者である藤田重信さんが、それぞれの書体についてお話しし、しかも対談もされるとのこと!
中村さんは愛知県在住で名古屋はまさにお膝元です。名古屋市営地下鉄には「ゴナ」によるサインシステムもまだ生き残っています。
終演後には懇親会もあります。
名古屋では滅多にないたいへん貴重な機会です。ぜひご参加ください!
●開催日
2019 年4月21日(日)14:00〜(13:30受付開始)
●開催地
国際デザインセンター 6F セミナールーム3
名古屋市中区栄三丁目18番1号
●受講料
3,000円
●申込締切
4月19日(金)
●お問い合わせ
名古屋意匠勉強会ナルホ堂 事務局(TIPTOP内)
TEL:052-229-8445
e-mail:naruhodo.nagoya@gmail.com
→申し込みフォーム |
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2019.3.8(金)
“新社屋”への移転作業が一段落したので、「写植レポート」にまとめました。現在トップページを飾っている、あの場面についてです。
個人で大型の手動写植機を運ぶのは不可能ですが、大型機械を得意とする運送業者さんが比較的安価に(小規模な引越し程度の代金で)やってくれます。レポートした内容はあくまで私の場合であって普遍的な方法ではないかもしれませんが、参考にはしていただけるかと思います。
写植機の搬出に困っている方や、写植機が欲しい方(いてほしい)にお薦めのレポートです。私も初めて写植機を譲り受ける時は写植機のことがよく分からず不安しかありませんでしたが、その時調べたことが今回の移転でもとても役に立ちました。写植機の外部的な構造や移転のノウハウはお教えすることができますので、ご希望の方はご連絡ください。

移転した写植機の動作は確認することができましたが、備品や資料、文字盤が非常に多く、整理にかなり時間がかかっていますので印字はまだすることができません。気長にお待ちいただけたらと思います。
2019.1.14(月祝) 写植機使用休止のお知らせ
一昨年末から計画を進めてきた新しい自宅が完成し、少しずつ引越しの作業を進めています。
写植室も新居に設けることができ、“新社屋”での活動に向け備品を移し始めました。亮月写植室は法人でも個人事業主でもありませんが、新社屋と呼びたくなってしまいます。

車のトランクは文字盤でいっぱいになりました。
2ℓペットボトル6本入りの段ボール箱が最適ですが、30枚近くメインプレートを入れると運ぶ時に腰を悪くしそうなくらい重いです。写っている箱は全てメインプレート入りで、満載しては新社屋へ運ぶのを数回繰り返します。サブプレートは蓋付きのボックスコンテナ(アイリスオーヤマの「B-21」にちょうど6ケース入る)に収め、車に満載して3往復しました。まだ現像用品やメンテナンス部品、書籍などの資料、書棚が残っているので、完全移転には時間がかかりそうです。

愛用の PAVO-JV も移転に向けて一部解体しました。幸い搬出入を引き受けてくださる業者さんがあり、その日を待っています。
そのため、亮月写植室の活動のうち、写植機を使った実作業ができなくなりました。印字のご依頼は当面受けかねますので、写植屋さんをご案内いたします。
その他の活動はできる限りこれまで通り続けます。ここ2〜3ヶ月は写植に関するお問い合わせがかなり多い状況です。引越しの都合上、資料がしまい込まれて一時的に参照できないなどはあるかもしれませんが、私の頭の中に入っていて裏が取れる限りは対応いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
現在の写植室は2011年1月に完成しました。広く知らせず、個人で細々とやっているにも関わらず、これまでに国内外から40名もの方が訪ねてくださいました。ここから始まったご縁も多くあります。初めて自分用の写植機を導入し、写植について実感を持って深く知ることができました。全国の方から沢山の文字盤や資料、そして写植機を頂き、写植への思いを引き継ぐことができました。真夏の蒸し暑い中も、年末の冷たい中も、このちいさな一室で写植とともにある日々でした。実り多き、そして思い出深い8年間でした。
さようなら! 思い出の写植室
ありがとう! 初めての写植室
“新社屋”への完全移転と印字再開の時期は未定ですが、いつかまた写植機の音を響かせ、写植の文字を新しく生み出していきたいです。
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